リニアテクノロジー Sa-321
新しいマルチパワーアンプ LINEAR TECHNOLOGY Sa-321 を導入して、オーディオシステムの再構築に挑戦しました。結構勇気が必要でした。 週末にAMPが届いてからは殆どオーディオ部屋にこもりっぱなしです。JBL C38 Baron (バロン) 001のネットワークを外して、Sa-321からダイレクトにユニットへ結線するために、スピーカーBOXの裏板を外してスピーカーユニットへの配線から新しくする作業を行いました。
スピーカーケーブルはウェスタンエレクトリックWE18GA(復刻版)を2mで揃えました。 これが片チャンネルで3セット必要になります。この細いケーブルじゃ無いと、JBLスピーカー側の端子に物理的に繋がらないのです。このケーブルは音に変な癖がなくてとても宜しいです。
アンプ側のバナナプラグはaudio-technica ソルダーレス バナナプラグ AT6301で揃えています。このプラグは高い物ではありませんし見た目はチープですが、バナナプラグ以外の部分が全てプラスチックでカバーされているので安全です。芯線外径2mm迄のケーブルに対応していて2本の芋ネジで確実に圧着して留められる仕様に成っているので接触不良はありません。バナナプラグもピンキリですけど、この製品はコスパ抜群でとても良い。僕は更にチョット工夫して皮膜を取った線材の先を折り曲げてダブルにして挿入しています。プラグ内で線材との接触面積を増やして確実にしてやろうと言う魂胆です。
各ユニットからのスピーカーケーブルをキッチリと長さを揃えて、端末処理も全部同じ条件にする作業は、AMPをセッティングして音質調整に入る前のお約束ごとです。端末の接点クリーニングも含めて行います。これを行う事で音質的にも精神的にも迷いが無くなる訳です。笑
多分こう成るだろうなと薄々勘づいて居ましたが、このアンプを使ってJBLのシステムをマルチで鳴らす場合は、プリアンプも、WFユニットを鳴らすためのPower Ampも 全てリニアテクノロジーで揃えて構成しないと駄目です。
ウチは元からリニアテクノロジーで揃えて居ましたので、問題ありませんでしたが、他社のプリアンプ(JOB)を試しに繋いでみるとガッカリする様な音しか出て来ません。一生懸命にSa-321のLOW MID HIのコントロールボリュームを調整して良い音の繋がりを探すのですが、これが途方に暮れるぐらい宜しくありません。
このプリアンプをリニアテクノロジーP101に替えると、何事もなかったかの様に、素晴らしい音で鳴り始めます。 Sa-321のゲインコントロールボリュームもそんなにシビアに気を使う必要もなく良い意味で鷹揚に音を弄れます。
例えばケーブルの音の違いなども如実に出してきます。音調整の過程でDACからプリ迄をベルデンにして アンプ間は全てMITにしました。 MITに変えた時にボーカルの滑らかさや声の太さと音の広がりが全然違うのです。
MITケーブルの音の特徴を感じながら、もう少し低域を絞ってやろうとか中広域を出してみようという風に音を弄れるのはオーディオマニアにとって至福の極みです。
さてセッティングが終わっての音出しです。先だってクリーン電源に変えた時に「おおぉ」と唸った感動も吹っ飛ぶくらいに異次元な再生音。
今まで聴いていたJBL Baron (バロン) 001からこんな音が出るのか!自分の常識を覆す衝撃!
思わず居住まいを正して、もう一度リスニングポジションからスピーカーの向き(角度と距離)を正確に合わせてから聴き直していましました。「すげえ!」
「はぁぁ これが 僕が生まれた頃に作られたビンテージスピーカーの音ですか!」僕は仕事でもスピーカー屋として様々な製品開発に携わってきましたし、音響技術ともお付き合いしてきましたので、この時代のスピーカーの仕様や再生音の限界については一般の人よりも理解していると思っていました。
例えば「マルチアンプにしても、Fixエッジの38cmWFだと振動板の振幅が取れないから、低域もそれなりなんじゃないかなぁとか」自分の中には長年の経験値を基にした既成概念ができていて、JBL 130Aに対して性能面では、多くを望まずに「古い時代の物だからこんな音でしょう」的な思考を持っていたのは否定できません。
さて過去に一世を風靡したJBL4343は私も所有しておりました。プロフェッショナル向けにスタジオで使用された1976年の製品です。僕が二十歳頃の製品です。4343の低域は38cmコーン型ウーファー2231Aでボイスコイルは銅リボンエッジワイズ巻き、エッジはフィッシャーのウレタンエッジです。Baron (バロン) 001に使われていた、130Aに比べてドスン系に変貌しています。それでも、高能率なWFと言われていてこのWFを十分に鳴らす為のパワーアンプは何が良いのかと言うオーディオ論争がありました。 当時でさえ既に130Aは古いスピーカーの範疇のユニットだったのです。
比較のために両方の簡単なスペックを記しておきます。何故比較スペックを見てほしいのかと言うと、両方とも磁気回路は同じスペックなんです。それがよく判ります。 振動系だけの違いでなのです。
JBL 2231A
型式 38cmコーン型ウーファー
インピーダンス 8Ω
許容入力(連続プログラム) 100W
音圧レベル(新JIS) 93dB
周波数帯域 25Hz~2kHz
fo 16Hz
クロスオーバー周波数 800Hz
ボイスコイル直径・材質 10.2cm・銅
磁気回路重量 5.9kg
磁束密度 12,000Gauss
エンクロージャー容積 113L~169L
JBL 130A
型式 38cmコーン型ウーファーユニット
許容入力 60W(連続プログラム)
インピーダンス 8Ω(130A) 16Ω(130B)
音圧レベル(新JIS) 101dB
ボイスコイル径 10.2cm
マグネットアセンブリー重量 5.9kg
磁束密度 12,000gauss
推奨エンクロージャー内容積 114L~338L
比較すると音圧レベルで8dBの差があります。圧倒的に能率が違うのです。130Aの振動系(コーン紙)はとても軽く出来ていることが判ります。振動板が軽いと何が違うのか?それはリニアリティです。低域の信号は振幅が大きい(波長が長い)のでそんなに軽くする必要があるのかどうか、意見が分かれる所です。 本当はエッジなどは無くして、振動板の斜面だけで空気を動かすのが理想かもしれません。(過去にFOSTEX エッジレスウーファー)と言うのがありました。
プロ用のスタジオモニターだと再生する音量も大きいので、2231Aの様にゴツく成って行きます。許容入力が130Aのほぼ倍の100Wですからね。
実は家庭レベルで音楽再生する場合には、そんなに大きな音は出さない訳ですから、130Aの様な仕様で十分なんですよ。能率が高いからPower AMPの出力もそんなに必要ないのです。それよりもリニアリティが良いので低域の立ち上がりやスピード感が素晴らしく良くなります。でもきちんと 鳴らすのがとても難しい。多分初期のD130や130Aを本当に鳴らす事が出来ている人はとても少ないのでは無いでしょうか?僕も今回初めてその音の片鱗に触れる事が出来ました。この音はネットワークを使っていては出来ないと思いますね...多分
それはどういう音なのかと言うとリアルな再生音(原音に近い)と言えば正しいのかしら…ちょっと良い言葉が思いつかないので上手く言えません。
Jazzはこれでしょう これでなくては..と思ってしまう至福の音です。
忘備録としてのシステム構成を添付します。
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