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2016年5月 4日 (水)

ライカ アポ・バリオ・エルマリート SL F2.8-4/90-280mm レポート

ライカ アポ・バリオ・エルマリート SL F2.8-4/90-280mm
もう f値開放から驚きの高彩度と高緻密
此のレンズは只者では有りません。
いやぁ 参りました。
 
Sl9ssblog

ライカとしては久々のアポ APO 望遠ズームです。僕の記憶が正しければ、バリオアポエルマリートR70-180mmF2.8が(1999年発売)ですから実に17年ぶりのAPO Zoom Renz復活と言う事に成ります。
17群23枚のレンズ構成で、色収差を抑制する異常部分分散ガラスを7枚組み込んでいます。
1995年設計のバリオアポエルマリートR70-180mmF2.8は10群13枚のレンズ構成で12枚の特殊光学レンズを使用し、うち5枚が異常部分分散ガラスという構成でした。総重量は 1,870g 長さはフードを着けないで238mm 口径は88mmです。
焦点距離が違いますが、アポ・バリオ・エルマリート SL F2.8-4/90-280mmは17群23枚ですから、構成も枚数も倍増していますね。重量は 1,710gと少し軽くなっています。

此のレンズも新しく設計された焦点域の製品で、開放値可変ズームで90mmf/2.8-22から望遠域280mm f/4.0-f22と成っています。90mm-280mmズームと言う製品も他社には無い製品ですね〜 探してみましたが、SIGMAから120-300mm F2.8 DG OS HSM | Sportsと言うのが出ていました。18群23枚で異常部分分散ガラスを3枚組み込んで、総重量3.390gです。やはり開放f値を固定にすると倍の重量に成って来ますね。

特筆出来るのは最短撮影距離が、90 mmで0.6m , Focal length 280 mmで1.4 mだということです。既存の他社ズームの中ではFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSSが一番短くて0.9mでC社やN社では1.2m~1.5mです。
先に記したSIGMA120-300mm F2.8で最短撮影距離が1.5~2.5mですから、今までに無い被写体に寄れるレンズと言う事に成ります。
最大撮影倍率が1:4.8(90mm) 1:5.0(280mm時)というのも、C社やN社で0.21倍(300mm時)ですからほぼ倍の値の凄いスペックです。
これって280mmでテレマクロとして花撮りが出来ちゃいます。それも手持ちで...(@@;;;;
作例を3枚ほど貼っておきました、3枚全て手持ち最短撮影距離での撮影です。SLはAFでピントが合焦しないと、シャッターが落ちませんから、ギリギリまで被写体に寄れるので大変使いやすい。280mmでの圧縮効果も含めて、是非オリジナルサイズの画像(6000 x 4000)リンクからご覧になって見て下さい。


ライカ アポ・バリオ・エルマリート SL F2.8-4/90-280mmはAFでOIS(Optical image stabilization / 光学式手ブレ補正機構)を内蔵し、(シャッタースピード換算で約3.5段分の補正)を載せてきたのですからライカレンズとしては驚きの進化と言えます。

Datenblatt_apovarioelmaritsl_90280_

AFは2枚のレンズがステッピングモーターを使って互いの方向に移動するダブルインナーフォーカス方式です。
ライカはプロ仕様のカメラシステムで最速のオートフォーカス性能と謳っていますが、確かにこのレンズのオートフォーカスは速い!そして殆ど無音です。
Catalogue_leica_sl_typ_601_jp_pdf9_

フォーカシングやズーミングを行ってもレンズの全長は変化しません。でも十分に長いですが…(^^;;;
レンズフードを外せば、意外とコンパクトなのですが、フレアや反射防止とレンズをブツケたりした時の保護のためにも、極力装着して使いたいですね。

Blog290280ss

三脚座はカメラ本体を90度回転(クリック付き)することの出来る、リング式ロータリー機能がレンズに組み込まれているのと、三脚座の足の部分から脱着が出来るように成っています。
非常にガッチリとした三脚座で、今までのライカRレンズには無いタイプです。(画像の三脚座にはReally Right Stuff のレンズプレートが取り着けてあります。)

何れ時間が有ればバリオアポエルマリートR70-180mmF2.8との描写比較なんぞも企てて見たいと思ったりしますが、なにせ重いですから、億劫にならなければ…

Hananiwa41100blog

オリジナル サイズの画像(6000 x 4000)はこちらからご覧になれます。

LEICA APO-VARIO-ELMARIT-SL 90–280 mm f/2.8–4について評価する前に
此のレンズの名前の前に冠されている
APO (アポクロマート)について説明しておきたい。

光は様々な色を含んで直進してくるが、写真を撮る場合にはその光をレンズを通して曲げてやることでフィルムの上に結像させている。 ところが光の色の違いに(光の波長の長さの違い)によって屈折率が異なる。例えば 子供の頃のプリズムを通した理科の実験を覚えているでしょうか?基本的に太陽光は7色の色を含んでいるが、 赤色は直進性がもっとも強いし、青色は曲がりやすいので、 レンズを通った光がレンズのプリズム効果による色分散によりフィルムに結像する時点でズレが生じて、
色の「にじみ」(axial chromatic aberration)や 画面周辺部での「色ズレ」(chromatic defference of magnification)を生じてしまうのである。

したがってアポレンズは色のズレを少なくする為にレンズガラスの素材にフローライト(蛍石)や異常分散(高分散・低分散)の性質を持った希元素 (ランタン・バリュウム)等を溶かし込み、それによって作られた高分散・低分散の凸レンズ・凹レンズを組み合わせるのである。

このように手を加えることを色補正(色消し)と言い、 アクロマートは通常のC線(赤)とF線(青)2色の色補正レンズの事で、 アクロマートより色収差を高度に、また球面収差とコマを補正し さらにC線、F線とD線(黄)3色に対して主点距離が同じになるように補正されたレンズをApochromat(アポクロマート)と呼んでいる。

デジタルカメラの時代に入ると、フィルム時代のレンズより、一層シビアに解像度と均一性が要求されるように成ったと言えます。RAWで取り込んでPsで拡大すれば、モニター上でいとも簡単にレンズの性能がわかるように成ってしまいました。撮像素子の画素数が増していけば、解像度の差も更に要求されますから、レンズ設計者には受難の時代かもしれません。
当然 異常分散性能を持つ光学ガラスや非球面レンズを活用すれば、収差はもっと低減できますが、国産の70-200mm f/2.8レンズはN社もC社もだいたい同じくらいの価格設定なのでコストと価格競争力を両立させないといけないのでコスト配分が難しいのでしょうね。

S社の70-200mm F2.8 GMがこの6月に発売予定ですが巷の情報では4,000US$と言う事で、この価格だといくら性能が良くても、一般のアマチュアには手が出ないレンズになってしまいそうなので、何かの間違いだと思いたい等と大騒ぎ状態ですが、以前にも「ライカSLは何処へ往くのか?」と言う記事を書きましたがS社はデジタルカメラ戦略でプロの領域を攻めたいのでしょうが、コンシューマーとプロの製品戦略に曖昧なところがありますね。

ライカSLはピラミッドの頂点にライカSの製品群をラインナップしたプロユースとして出て来ているので、価格的にも線引がされてます。生産数量も少ないですからこんな物なんでしょう。高ければ良いと言う訳では有りませんが、ライカSレンズと比較すると納得の価格設定なのかもしれません。ライカMの現行ズミルックス等のお値段を思い浮かべると、何だか凄くお得なレンズに思えてくるから不思議です。 (滝汗)

Hananiwa3blog1100

オリジナル サイズの画像(6000 x 4000)はこちらからご覧になれます。

ではこのライカレンズの魅力とは何か。それはレンズの基本である描写力が素晴らしいということ。
先に発売されたライカ バリオ・エルマリートSL f2.8-4/24-90mm ASPHもそうですが、共にフルサイズのデジタル素子に合わせたレンズ性能に進化していますね。
絞り開放から高コントラストな描写で、どの焦点距離で撮影しても、すみずみまでシャープで線が細密です。色の滲みが少ないので細かい色の階調まで、克明に再現してきます。
恐ろしいですね ちょっと比較してみましたが、Apo-Macro-Elmarit-R 100mm f2.8より解像度が高そうです。この辺はフィルム時代のレンズと、デジタル素子が出てからのレンズの違いなのでしょうね。圧倒的な描写力です。
このレンズは光学性能が優れているので、Adobe Lrで現像する時に殆ど弄る所がありません。光学系の力不足をデジタル補正する必要が無いのです。
僕はSLのセッティングで、オートブラケットを使って露出ステップを±1 ⁄3EVに振って3コマ撮っていますので明暗差が大きい被写体は、その中から最適な露出の画像を選んでちょっと現像するだけです。

Kiki3blog1100

オリジナル サイズの画像(6000 x 4000)はこちらからご覧になれます。

良いレンズの定義は色々有るのでしょうが、僕の場合は撮り上げて(RAWから)現像した時に「おおぉ!ここまで撮れるのか」と驚きのあるレンズですね〜 
それは色彩で有ったり、解像度で有ったりBoke味で有ったりします。フィルム時代のライカレンズにもそれは有りました。ライカレンズ開発陣の底力と言うのか、長い歴史と経験から培ってきた知識と技術はデジタルの時代に成って更に次のステップへ登ってきたと思います。
今回のライカSLシリーズはプロユースと謳われているだけ有って鏡胴はメタルパーツがふんだんに使われており、非常に堅牢性がありそうで、抜群の安心感が有ります。随所にシーリングを施した密閉構造なので、(ユーチューブでザバッとコップの水を掛ける映像が在りました。)真似をしようとは思いませんが、防塵/防水性も高そうです。

ライカのカメラやレンズは「だからライカで写真を撮り続けたい」と思わせる魅力をDNAとして持ち続けているのだと思います。

Sl7ssblog

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