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2016年1月23日 (土)

ライカSLは何処へ往くのか?

ライカSLを入手してみて、このカメラは今日のデジタルフォトの領域で最先端の技術を盛り込んだポテンシャルを持っている事を実感しました。
このSLシステムの登場は、写真のクォリティにおいてライカレンズを要求するプロ写真家やライカRエンスーの人々にとって、明らかに朗報であると言えます。
なぜならこのSLシリーズは今までライカM(レンジファインダー機とマニュアルフォーカス)では撮ることの難しい撮影領域を完全にカバーしてくれるライカだからです。
この快適さを車の運転に例えるなら、ライカMは長年マニュアルのポルシェで運転を楽しんできた人で、ライカSLは8速ティプトロニックSの着いたポルシェカイエンSEハイブリッドに乗るようなものです。

Sl98m

過去のフィルム時代にも同じようにライカMとRの住み分けがなされていました。
但しフィルム時代のライカRレンズは日本の一眼レフの雄キャノンやニコンがAFだったのにAFに追随できていませんでした。
今回発売された標準ズームレンズ「ライカ バリオ・エルマリートSL f2.8-4/24-90mm ASPH」はシャッタースピード約3.5段分の手ブレ補正機構を内蔵して、性能面でも日本製と完全に肩を並べてきました。今までの様に重くて写りの好いマニュアルレンズでは無くなったわけです。それでも重量は約1,140gも有ります。

Sl_f2842490mm_asph

レンズ構成は15群18枚で、4枚の非球面レンズを採用 異常部分分散ガラスからつくられたレンズを11枚取り入れることで、色収差を良好に補正していると言う事ですから、贅沢の極みです。
もちろん値段もそれなりにライカ価格ですが.......(^^;;;

(下の構成で*の着いているのが非球面レンズ)
__sl_f2_84_2490mm_asph_____lenses__

さてこのレンズを初めて使って驚いたのはAF作動音が殆どしないことです。 AFにはステッピングモーターを用いてレンズを直線駆動しているそうです。ステッピングモーターでの駆動方式は元々音が小さいのですが、レンズの筐体や、シールドのお陰なのでしょうか? 殆ど無音に近いと言っても過言では有りません。ファインダーを覗いてレリーズを半押しすると無音でスッと合焦します。今までにない不思議な体験です。
偶然にも時を同じくして発売されたAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRは手ブレ補正機構を内蔵して約1070gそれもf2.8通しですから、大口径マニアのワタクシ的には望遠域を90mmまで伸ばさなくてもf2.8通しにして欲しかったと言うちょっぴり残念な気持ちは有ります。f2.8通しにすると、ライカの場合は更に巨大に成っちゃっうのでしょうね..(^^;;;

世界のプロ写真家が使うマーケットでカメラ機材はキャノンとニコンの2社に別れています。
ライカとソニーはその領域に何とか入りたいと考えているのだと思います。

ライカSLは最高連写速度が毎秒11コマ、AF-C連動でも毎秒7コマを維持し、高速動体にも使えるカメラと成って出てきました。高精細な電子ビューファインダー『ULTIMICRON』の搭載と合いまって、一眼レフの代わりになる性能を持ち合わせています。
ソニーα7の場合には約2430万画素とライカSLの約2400万画素と同じα7IIでも、最高毎秒5コマ、通常は毎秒2.5コマです。1200万画素と画素数を落として、最高感度を目一杯上げたα7S IIでも、やはり最高毎秒5コマ、通常毎秒2.5コマなのです。何故SONYが最高連写速度を上げてこないのか分かりませんが、多分ソニーはビデオ関連の付属品をふんだんに用意していることから、お得意のビデオ映像領域からのアプローチを考えているのでしょう。
ライカSLもインターフェースにはHDMI1.4端子やUSB3.0を採用して、PLマウントのライカシネレンズの「ズミルックス」シリーズや「ズミクロン」シリーズを用意してHDMIレコーダーと組み合わせることでプロ水準の映像を撮影・収録できる映像制作機材として提案しています。

初期のライカSはHasselblad H Systemのユーザーをターゲットにしてきました。それはC(セントラルシャッター)の組み込まれたレンズをラインアップしていることからも明白です。 カメラに詳しい人なら誰でも知っているように、HasselbladにAFやデジタルの技術は有りません。それは富士フイルムのOEMで有ったりします。
ライカは独自の開発に対して多額の投資をしてきました。Sのミディアムフォーマットで既にファッション写真家やプロのスタジオコマーシャル・フォトの領域を開拓し実績を上げました。
そしてライカSLの発売前にライカS(TYP007)を2015年9月に発売して来ました。
有効3,750万画素の映像素子「ライカMAX CMOS」センサーのサイズは30×45mmとライカSLは24-MP-CMOS-Sensor (24 × 36 mm)ですから、映像素子の違いを除いてエンジンやGPS等殆どの機能はライカSLに引き継がれています。発売時期が前後しただけで、ライカS(TYP007)とライカSL(TYP601)は同時に開発されていたのでしょう。

Catalogue_leica_sl_typ_601_jp_pdf10

ライカSLとそのレンズは防塵や防滴対策として過剰なまでのシーリングを施しています。驚いたのはレンズをボディに取り付ける時の精密感が今までのMとは全く違います。
ライカMがカポッと着くのに対して、ライカSLの場合はミチッと言う感じで装着できます。
バッテリーはパナソニック製の充電式リチウムイオン電池です。フル充電で400枚撮影ができるそうです。未だ試してはいませんが、予備に2本追加したので合計3本有れば不自由することは無いでしょう。カメラグリップの部分にボディの下からバッテリーが入りますが、電池蓋が有りません。バッテリーの一辺が底蓋の形状に成っています、ボディ底面にあるバッテリー取り外しレバーをリリースすると、ポンと1センチ位バッテリーが飛び出してきますが、その状態では外れません。ボディを下に向けても外れません。落下防止に成っているのですね。最初は解らずに焦りました。もう一度少し押し込むと簡単に外れます。(^^;;;
バッテリーの底面側の内周面にはラバーリングが噛ましてあって、防滴対策が為されております。

Bt1

Bt2

Bt3

ライカSLは操作ボタンに表示が有りません。唯一有るのは背面の電源ON OFFメインスイッチだけです。非常にスッキリとしています。これはLeica Sも同じです。背面の液晶モニターの周囲にある4つのボタンと2つのファンクションボタンは自由にプログラムできるので、自分で覚えたら忘れないでしょ お好きにどうぞと言うことでしょう。ジャーマンプロダクトにはこの様なデザインと表示の関係を考えた物が多いですね、その辺りにライカの見識を感じて嬉しくなります。
それでも今までライカMやDMRを使ってきたユーザーで有れば取説を読まなくても70%くらいは操作できるでしょう。GPSが内蔵されているので、ONにすると日付と時刻が自動的に表示されたので、ちょっと感動しました。
無垢のアルミニウムから削りだしたと言うボディはとても堅牢そうです。全ての操作ボタンの操作感覚も、必要十分な重さとクリック感を備えているので、アウトドアのフィールドで手荒に扱っても十分な耐久性を持っているでしょう。
乱暴に扱うという事では有りませんが、宝石のように首からぶら下げて使うマニアの多いMシリーズとは性格の違うシリーズの様です。多分ライカはニコンやキャノンのフラッグシップに伍するつもりでこのカメラを出してきたのだと思います。ライカもウェッツラーで行われた発表会でライカSLをプロ向けのカメラと明言しています。私なりにそれはどういう事かと考えてみたのですが、それはオリンピックの時に並ぶ望遠レンズを装着したニコンやキャノンの砲列に入ることではなくて、写真のクォリティにおいてライカレンズを要求するプロ写真家に向けたものなのでしょう。

Sllenz

かってNATIONAL GEOGRAPHICの専属カメラマンはライカRシリーズを使うことが多かった。中央ネパールのアンナプルナ連峰にて写真家エリック・ヴァリとダイアンサマーズが撮影した断崖絶壁でヒマラヤオオミツバチの蜂蜜を採取するハニーハンターの画像は重厚な発色で、とても魅力的でした。確かRシリーズで撮られたと記憶している。
動物写真家の岩合光昭氏も今はオリンパスの専属カメラマンみたいに成っているが、以前はライカRを使っていました。

多分ライカSLのシリーズの評価はあらゆるフィールドで使われてゆくことで、定着してゆくのだろうと思います。
是非長期的なシリーズとして定着して欲しいと願っております。

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